僕は料理は嫌いではない。 秋深し厨のともし消しにけり 小姓 (消す「他動詞」) 秋深し厨のともし消えにけり 「消える」は、自動詞。
「人間は/行方不明の時間が必要です」 何をなすべきか、それがあれば、孤独はよいものである。 そんな場合、敵は自分。 「天高し行方不明の十日かな」 家庭にしろ、会社にしても十日は長い、家庭なら離婚の危機。 会社なら社会からの離脱。 俳句にしても、…
とある家に古雛おそろしかりし 相馬遷子(そうませんし) 作者は医師、往診したのだと思う、古雛(ふるひいな) とあるから先祖代々つづく旧家でしょう。 何故古雛がおそろしいのかがポイント。 贅をつくして拵えたお雛様、人は死ぬが人形は死なない、この句…
晩秋のなぎさ砂踏むきのふ今日 小姓 明日はどうするのだ、人間は群れなければ生きていけないのだぞ。 人には格差がある、私の一時間は一千円。 貴方の一時間は五.六万円。 行方不明になっている場合ではない、働け。 もし僕が選者で相対選なら採るが、絶対選…
新コロナウイルス禍。 例をあげるまでもない、人類はこのような災いを過去、何度も繰り返してきた。 十数年のうちに、地球上の人口は現在の77億人から約85億人に、さらに2050年までにほぼ100億人に達する見込みです。 (ネットサーフィン)から。 ♪鐵道唱歌♪…
日常生活では、詩への無関心は、人類の最も目立つ特徴の一つである。 (イギリス・コラム傑作選・行方昭夫編訳) ここでのコラムニストは‘詩‘と言っているけれど、詩に限定することはない。 何に関心を示すのかでその人が分かる。 高貴であっても、俗人であ…
恐れ多くて、なのか、古池と蛙を詠んだ句に出会ったことがない。 専業俳人、専門俳人は詠んでもそれに同等、または、それを越える句は出来ないから詠まないのだろう。 小姓は俳句で生業を立てていないから評判など恐れない。 古池や後るることはがま蛙 小姓 …
六月の葉ずれに眠り赤ん坊 石田郷子 爽やかな風が吹き抜ける六畳間、というところか? 六月は不思議な月、はる・なつ・あき・ふゆ、は明快に区切られている、実感として感じることが出来る。 六月は違う、「梅雨」のはしり・中休み・五月晴れは梅雨の晴れ間…
六月の葉ずれに眠り赤ん坊 石田郷子 六月の着て出たキティ持ち重り 小姓
詩歌は個性の表現である。 個性無くして創作はあり得ない。 比喩的に、象徴的に、擬人化したり、意味は持たせるけれど表面からは埋もれさせてしまう。 その端的なものが俳句である。 温暖化まつ黒なるや秋からす 小姓 鴉は季節を問わず黒い。 一面に黄色とな…
温暖かまつ黒なるや秋からす 小姓
はまなすのどこへ腰掛けてもひとり 落合水尾 一読意味が取れない句、秀句の条件の一つでもある。 この一人は物理的な一人ではない、回りは人でいっぱい。 水尾さん、失恋したのかも知れない、回りは幸せそうな家族ずれ、若い恋人同士。 季語・浜茄子(はまな…
去つてゆく足跡ばかり春渚 吉田千嘉子 爪先はどちらを向いているのだろう。 陸の方と海のほうとでは解釈、鑑賞は違ってくる。 作者はそれを言っていない、だから奥の深い句になっている。 年齢も不肖。 写生句で、「実際そうだったんです」と言ったら、大し…
小姓 八月のこよなく悼む別れかな 堀本裕樹の選で活字になった句。 八月をこよなく悼むわかれかな 八月をこよなく悼み惜しみけり 夏をしむ・冬をしむ、という季語はない。 八月をこよなく悼み別れけり 意味は同じですが、助詞違の違いで微妙な風韻の違いがで…
白扇をひらけば山河生れけり 鷹羽狩行 句集『平遠』で第25回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1976年、毎日俳壇選者。1977年、会社を退職し俳句専業となる。 2015年、日本芸術院賞受賞。同年、日本藝術院会員。2019年(平成31年)の歌会始の召人。 俳人協会名誉…
満開の次のしごとを花の幹 渋谷道 作者は有名俳人、好きな俳人でもある。 花の幹、は、桜の木でしょう。 助詞の「を」が、句を深くしている。 聞くまでもない、次の仕事は「花吹雪」次は「葉ざくら」毛虫とも戦わなければならない。 桜紅葉はきれいじゃない…
“ツレ”の義父が、室温が38度Cになっていてもクーラーを使わない。 義姉が、私たちが何度いっても聞いてくれない、一言、言ってほしい。 義父さん、以前言っていましたよね、平熱は36度って。 ヘモグラビンhba1c ngpは4.6~6.2が平均値って知って…
「まだやっているのかと呆れて我を見る 結果がなければ物は言えない」 何かを研究している人でしょう。 「まだ我のこだわり続ける疑問点に ボスの両眉不機嫌となる」 永田 紅 思い切りよく諦める人。 頑なに諦めない人と、どちらが良いのか。 頑固を辞書で当…
「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼は美男におはす夏木立かな」 (「釈迦牟尼」しゃかむに)与謝野晶子(1878~1942) 仏になってしまった釈迦に恋をしてもどうにもならない。 仏でなくとも、あの男は恋などしない。 釈迦牟尼は美男におはす夏木立宿鎌倉に自慰を楽…
「秋冷やハーレダビットソンのメッキ」 人はいるけど影が薄い。 この句は、取り上げて論じるに値しない。 「秋冷やハーレダビットソンの女」 ハーレダビットソンと女の取り合わせは、意外性はある。 ナナハンの運転免許を取得するには、試験科目に、倒れてい…
立秋から十一日が過ぎた、盛夏より残暑のほうが暑さは厳しい。 気象学者は今、地球は氷河期である、と言っている。 宇宙のカレンダーで計れば、一千万年はゴマ粒より短い。 永久凍土が溶け始めて、一億年前のウイルスが地上に出てきているそうだ。 これは専…
無知を匿す被いとして、(被い「おおい」) 創造神は、 いつも傍にあって、 意のままになる、 「沈黙」を作ってください。 処世百頌・(しょせい、ひゃくじゅう)バルトリハリ。 松山俊太郎・訳 「沈黙」をきめこむことは「無知」をかくすだけではない。 処…
小満や白磁の碗に湯を享けて 大石悦子 小満・二十四節気の一つ。 読み解く手がかり、足がかりがない・・お手あげ。 解釈、鑑賞が出来ない句は、僕が未熟なのか? 作者は一流俳人。 小満と白磁の碗の繋がり、「湯」は白湯でしょう。 湯のみではダメなのか。 …
青嵐軍鶏に生疵ありにけり 亀井雉子男 季語「青嵐」清涼/爽快、明るいイメージが本意。 語感からは、荒れた風のイメージ。 蹴り合うて闘鶏宙をもつれ落つ 駒木逸歩 闘鶏は季語だが、軍鶏(しゃも)は季語ではない。 青嵐軍鶏に生疵絶え間なし (青嵐)(軍…
藻の花や雲しののめの水やそら 蕪村 「や」が二つ、ややこやしい。 上五の「や」は切れ字でもあるし、強意でもある。 座後の「や」は並列の「や」 ― (東雲「しののめ」)東の空がわずかに明るくなる頃・あけがた・あかつき・明け方に東の空にたなびく雲。 …
藻の花のあはれ流れてゆかぬなり 矢島渚男 流れて行かぬ藻の花、哀れと言っている。 なぜ哀れなのかは読者の胸の内にある。 藻の花の擬人化、未練を断ち切ることが出来ない。 渚男、やるじゃない、さすが一流俳人。 櫂につづいて一句読んだ、という充実感に…
さみだれの島さみだれの海の上 長谷川 櫂 季語・「さみだれ」が主。 島も海もさみだれを支えている。 さみだれの/島さみだれの/海の上 さみだれの島/さみだれの/海の上 名詞切れ、島で切って読むことも出来る。 俳句はリズム≪律≫も重要。 七五五、で読ん…
女身仏に春剥落のつづきをり 細見綾子 この剥落はミクロの世界、目視でその変化を確認出来るのは百年後。 写生に徹しながらなおかつ主情的・直感的な句をものにした作者。社会性俳句の旗手とされた沢木欣一を夫としながらも、社会性俳句からは刺激を受けてい…
卯の花腐し赤んぼ手足みじかけり 関取のまはし卯の花腐しかな bn 僕がそうだったから、そう思うのだけれど(「卯の花腐し」うのはなくたし) (季語)は、門外漢にはまず分からないでしょう。 赤ちゃんの手足が短いのは可愛らしい、“卯の花腐し”の季語は…
人は自分中心で生きている、というと「そんなことありません私は人のことを 思って生きています、いつも人に助けられて生きていますよ」と、反論してくる人がある。 そう言える人は余裕がある人。 新型コロナウイルスによって、会社が閉鎖、収入がなくなり家…