百句他解シリーズ1・№Ⅰ 池田澄子, 兜太百句を読む。 金子兜太
白犬が吾を追い越す地球上
金子兜太
池田―ちょっとこれあざといといって言えば、あざといかも知れないけれど。
金子―このへんみんな貴女独特の選び方ですよ、これは面白い。
選ばれてみると面白いですね、自分の句だが。
こんな句があったんだよなあ。
池田―この「地球上」の大袈裟が愉快です。
それでいて本当に、あくまでも何をしようが地球上ですよね。
これがあざとくて嫌だという人が居るかも知れないと思うんです、俳人の中にはね。
でもやっぱり、白犬も吾も、他の生き物も今生きているのは、逃れようもなく地球上だという感じがしました。
金子―そうそうそうそうそう。
白犬が印象的でしょう?
池田―はい、白犬がスタスタスタスタ歩いて追い越していってるって。
そして後姿になる。
(ふらんす堂)
兜太に詩情の有無を要求しても詮無い。
白犬に兜太が追い越されても只事俳句。
白犬に人格、品格、雅さの衣を纏わせれば、「吾を追い越す」が活き活きとしてくる。
兜太より品も格も上の白犬、兜太を無視してスタスタスタスタ、引きつる兜太の顔。
bn小姓