歌舞伎十八番

襖みな外して富士を迎へけり―須藤常央
みな外してしまったのですか、「開け放って」なら自然に受け入れることが出来ます。
強い表現は作意を感じてしまいます。

夕映の暫く倚るは冬襖角川源義
(倚る「よる・もたれる・よりかかる」)(広辞苑
「しばらく」の解釈、歌舞伎十八番の一つ、なのか。
少しの間・しばし・暫時なのか。
「襖」は冬の季語、分からないのは、なぜ「冬襖」と季語を修飾したのでしょう。
角川源義だから混乱してしまいます。

「親父、俳句は上手くなかった」角川春樹
ちょっと待った、「俳句の角川・角川の俳句」の創始者だ、それはない。
歌舞伎の「シバラク」は、その道で世界に知れ渡っている。
「夕映」も「倚る」も「冬襖」も歌舞伎の一場面をおもいうかべれば輝いてくる。

震度2ぐらいかしらと襖ごしに言う池田澄子
面白い、会話俳句は作者の右に出る人はいない。
ここの「襖」は季語としては半分ぐらいの働きしかない。
後の半分は、季語を「言葉」として使っている。

 

(すべりひゆ)馬歯莧・滑莧・夏の季語。

池田澄子・二句
煮凝やなんとかするとはどうするか
「や」で切っているから・「なんとかするとはどうするか」と、「煮凝」(季は冬)の関係は無くなっている。
でも細い糸で繋がっている、その細い糸は俳句では重要。
昼間でも煮凝りが溶けない、「この隙間風の寒い家を何とかして」
三人称で作者は傍観者、としてもイイ。

言う前にひらく唇すべりひゆ

句に意味はない、言葉の持っているニュアンスを面白がっている。

 

ミミズの鳴き声聞いて下さい、そして俳句で発表してください

池田澄子)三句
揚羽から目をはなさずに拝聴す
瞬いてもうどの蝶かわからない
目をはなしたからいけないのでしょう、アッ、瞬いただけですか。
蚯蚓鳴く日まで私は生きられぬ
先生、今は鳴きません、世の中超スピードでころがっています、諦めてはいけません、ミミズでも超スピードで進化しています、鳴き声、聞けますよ。

雪女・虚の世界

雪女くると茶碗にしぼる乳―木内彰志
この世に未練を残した雪女、句の内容から、乳しぼる・と動詞でながしてもイイのではないか。
一枚の弔電ぬらし雪女―木内彰志

 

雪女線路は白くなつてをりーbn
いかにも雪女が線路を白くしたような錯覚を読者に与える。
雪女は幻想的な季語、作られた句も虚の世界。
従順はめっちゃ間違ひ雪女ーbn

独創句

雪原や人住みて灯をともしをり―鶴田玲子
作者は、昭和八年、北海道生まれの人。
雪原は見たことがないから想像するしかない。
こんな所に家がある、人が住んでいるのだろうか。
そんな風景の在り様。

葦原のどの葉にもつく霧氷かな―・・玲子
葦原も見たことがない、この葦の葉に霧氷がついて、あの葦の葉にはついていない、そんなことはあり得ない。
「どの葉にもつく」あたりまえのことを言いきっている。
詠めそうで詠めない、令和の今でも十分通用する創作句。