2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧
一夜さの恋もあるべし雪女郎 原田咲子「あるべし」・あるべきだ・あるであろう・きっとある、なければいけない。
四十路さながら雲多き午後曼珠沙華 中村草田男 (よそじさながらくもおおきごごまんじゆしやげ) 四十男は青臭さもとれて油の乗りきった歳。 午後・「昼過ぎ」江戸時代20歳過ぎた女はそう呼ばれていた。 曼珠沙華は群れて咲いている。 曼珠沙華の二次的なよ…
本の山くづれて遠き海に鮫 小澤 實 俳人であり文筆業である作者、資料として本は必須。 本の山が崩れたのは目の前の出来事。 「遠き海に鮫」これは頭の中で考えたこと、小さな船の航海なら出会いたくない物。 創作にいき詰まってのかも知れない。 或は、本が…
大寒の困ったことに良い月夜池田澄子 俳句はなぞなぞではない。
神は同種、同族の爆発的な発展は許さないものらしい。嘗ての、エボラ出血熱、エイズ(AIDS)今回の中国で発生したコロナウイルスによる新型肺炎。そう言えばザーズ(SARS)も中国で発生したウイルスだった。重症急性呼吸器症候群、これも病原体はS…
ゆふべ背に立てたる爪で蜜柑剥く山﨑十生 思想・実情を句に詠む。 この句は詩情はない。 ある女優の離婚記者会見。 私が離婚を決意したのは、夫の背中の傷をみてからです。 夜すがらや落葉の音にそふこころ田川鳳朗 木葉が散るときに音がするかどうかは問題…
気違ひ茄子の夕闇白し廃僧院平井照敏・・(昭和四六) (きちがいなすのゆうやみしろしはいそういん) 自解・前年イタリアをめぐったとき、どこかで見た花である。 この花はダチュラとも言う。 作例が少ないためか、山本健吉氏の歳時記に例句として採られた…
付けてみました。 矢車に朝風強き幟かな 布教しずかに素足の女・bn 夏近き吊手拭のそよぎかな 木綿は白さ失いにけり・bn
矢車に朝風強き幟かな内藤鳴雪 「幟(のぼり)」と「矢車」で夏 幟_戦陣、祭礼、儀式などに用いる。 ここは、矢車、とあるから、「鯉のぼり」でしょう。 夏近き吊手拭のそよぎかな内藤鳴雪 夏近き_晩春、と同じですが語感から来る印象は違う。
やみ、やみ、やみ、深読みは作者にも令を失する はじめての雪闇に降り闇にやむ野澤節子 闇から闇に何か大きなことが動いて表に出ることがなく葬りさられる・これはない。 寝る時は雪がなかったが、朝起きてみたら見渡す限り一面白くなっていた。 「初雪や闇…
水流れ雪ふることをこばまずに細見綾子 こばばないのは、誰が、或は、何がこばばないのか。
水仙は童女の覚めしごとくなり角川照子 如く俳句は、主観が強くでる危険性がある。 角川 照子(かどかわ てるこ、1928年12月14日 - 2004年8月9日)は、東京府渋谷町(現東京都渋谷区)出身の俳人。1949年、角川源義と結婚する(源義は再婚)。のち一男一女…
妻急変冬木一列帰路一途松崎鉄之介 妻・急変・冬木・一列・帰路・一途 漢字だけ。 名詞だけ。 「妻」妻恋ではない、自分にはなくてはならない人生の伴侶。 「急変」にわかに起こった変事。 「妻急変・冬木一列・帰路一途」 このように三段で切って読んでもイ…
季語・「枇杷の花」は初冬、慎ましくひっそりと言う印象を持たれている わが刻を今日はわが持つ枇杷の花 無住寺に人来る日あり枇杷の花 佐川広治 辛酸を語らぬ遺影枇杷の花 吉岡桂六
祷る間は立てかけらるる白日傘関口恭代
立ち直りはやし絵日傘ぱつと差す津川絵里子 間違いなく創作句。作者がこの句の背景を説明したら読者の感動は薄れる。
鳥の巣に鳥が入ってゆくところ波多野爽波俳句くらいやさしいものはない。誰にでもできる。しかし俳句はむずかしい。誰にでもはできない。三尺の童ならできる俳句が、案外分け知りのおやじにはできない。感じるものには、やさしく、考えるものには、むつかし…
卯の花や万年筆に書くはがき 小澤實 普通なら、万年筆で書くはがき、なら分かり易い句。 万年筆とこれから書く新しいはがき、物を置いただけの句。 卯の花・・や、で切れている。 卯の花が一句の中でどのように働いているのか。 意味付けて説明しても出来な…
寒がらす飼ひて女中を晝犯す 加藤かけい寒ガラスと言う種はいない。悪食の鴉を飼っている、かなり悪趣味な男を思い浮かべてしまう。犯されたお手伝いさんの人と形(なり)をそれとなく暗示しているのでしょう。作者は明治生れだから「女中」はまだ差別用語云…
鳰の岸女いよゝあはれなり_石田波郷俳句はなぞなぞではない、読み解く手がかりはある。もちろん作者名から、平成、令和の時代ではない。波郷は1913~1909、ということは戦前、戦後の混乱した時代を経験している。男女雇用機会均等法などない時代。…
雪女ここら辺りと言ふていた bnkosyou
峠見ゆ十一月のむなしさに_細見綾子十一月が空(虚)しい。形容詞、①中に物がない。からである。②内容がない。充実していない。③事実がない。あとかたがない。④はかない。かりそめである。峠と結びつけると読者それぞれに感じるものがあると思う。「峠」を…
宿帳に妻と偽(いつは)るしぐれ宿岩崎玲子冬帽と冬帽黙(もだ)す別れかな_石橋イツ子 出来過ぎていて、作意を感じる。
鷹の目の枯野にすはるあらしかな_内藤丈草鷹の目が枯野にすわる物は「あらし」しかない。うづくまる薬の下の寒さかな_内藤丈草『去来抄』に「先師、難波の病床に、人々に夜伽の句をすすめて、今日より我が死期の句なり、一字の相談を加ふべからず、となり…
くれなゐの色を見ている寒さかな_細見綾子紅色って、物は何なのか、何も言っていない、読者が決めればイイ、作者が捻くれた根性の持ち主ではない。これが俳句。ただ色を見ている、花か、下駄の鼻緒の紅か、そうだとしたら「寒さ」が活きてこない。紅は暖色…
むささびや大きくなりし夜の山―三橋敏雄むささびは夜目がきく、それにひきかえ人間は闇にはからっきしアウト。物理的に山の大きさは夜も昼も大きさは変わらない。人は闇が怖いのはDNAに組み込まれている。 逝く年の人の歩まぬ闇に入る_角川源義闇の中で…
明け六つも暮れ六つも鐘冬に入る_角川春樹明け六つ・暮れ六つ。午前六時・午後六時ごろだと思う、鐘を衝いて時刻を知らせる。作者の正確な年齢は知らない、実際にこんな村里があれば行ってその鐘を聞いてみたい。♪♪山のお寺の鐘が鳴る♪♪の世界 逝く年の人の…
すでに・は、下に何かが続く。上にもつく、「正月もすでに六日をすぎにけり」bnLINEに既読が付かない。冬すでに路標にまがふ墓一基_中村草田男「冬すでに」「路標にまがう墓一基」一句で読むか、二句で読むか。路標にまちがうような墓は何度も見たこ…
むささびや大きくなりし夜の山―三橋敏雄むささびは夜目がきく、それにひきかえ人間は闇にはからっきしアウト。人は闇が怖いのはDNAに組み込まれている。物理的に山の大きさは夜も昼も大きさは変わらない。敏雄は「夜の山は大きく感じる」そんな甘い句を読…
ふところに乳房ある憂さ梅雨ながき―桂 信子名句と言われているが、俳句の基本から外れている作り方。僕は男だから乳房が憂いかどうかよく分からないけれど、そのように言われてみれば、なんとなくそんな気がする。だが、季語の斡旋に同意出来ない。「憂さ」…