別荘・俳句と付き合う極意
囀りやピアノの上の薄埃
島村 元(はじめ)
上掲句、難しい言葉は何もない。
鑑賞は人によって違うと思う。
「囀り」は屋外、ピアノは屋内、これは誰でも同じ。
「ピアノの上の薄埃」この措辞は上手い、だれでも出て来る言葉ではない。
持ち主がピアノに飽きた、捨て置かれていて,薄埃を被っている、ともとれる。
これでは季語の囀りがあまり活きていない。
ピアノの置かれている場所に人が出入りはない、薄埃は、時間の経過を暗示している。
小鳥の囀りだから都会ではない、時代によっては、ピアノは高価なもの。
これらを踏まえて思えば、別荘だと思う。
季節は晩春。
書かれていることは一字一句見落とさない、一編一編を解し、全体の風韻を感じ取る。
これは、相当の経験がいる、選句眼の曇りは、生殺与奪。